自分を制する心と書いて自制心。
この自制心は子どものうちに持っておきたい重要なスキルです。
- やりたくないことでもやり始めたり続けたりする力
- したいことをやめる力
どちらも自分自身の心を制し、コントロールしなければできません。
子どもの自制心について、テリー・モフィット博士が子ども1000人を32年にわたって調査した2011年の画期的な研究結果は次のように要約されています。
3〜11歳の時点で自制心が弱い(粘り強さが少ない、衝動性が高い、注意力が弱い)子どもは、同じころに自制心が強い子どもに比べて、30年後の健康度が低く、経済力が悪く、犯罪率が高い傾向がみられる。
つまり自制心は今後の将来を左右するほど大切なスキルと言えます。
この記事では子どものうちに持っておきたい自制心についてまとめました。
自制心が強ければ勉強ができるようになる!?

自制心が強い子は「集中する力」「気をそらすものを無視する力」「新しいものを取り入れる力」に優れ、将来成功する人生を歩む可能性が大きくなります。
また、自制心は「実行機能」と呼ばれる脳内プロセスによって統括されています。
この実行機能というものを育むことは学習面にも大きな影響を及ぼすことがわかっています。
実行機能はIQよりも大事
幼児の実行機能に関する研究は多く行われていて次のようなことがわかっています。
未就学児と幼稚園児の「実行機能」のスコアは、「IQ」のスコアよりも、後に学業で成功する重要な指標になることが多くの研究からわかっています。
実行機能が高くなることで
- 初期の読み書き能力において、同級生よりも3か月以上進んでいる。
- 小学校から大学まで、成績のレベルが高い。
- SAT(大学進学適性試験)などの標準テストでのスコアが高い。
- 同級生や先生と、ポジティブな人間関係を築きやすい(あまり破壊的、無神経、攻撃的ではなく、そのことが学業成績を押し上げる)。
- 大学卒業率が高い。
というデータがあり、実行機能を高めることが学力向上や社会性の向上に繋がっています。
実行機能は生後1歳までの間で発達が始まり、20歳ぐらいまでは成長していきます。
早い段階から実行機能を育てていくことが大切です。
実行機能を高めて自制心を持たせよう
子どもに自制心を持たせる場合実行機能を育み高めていくことが大切です。
実行機能は子どもの日々の生活の様々な時に育むことができますが、より高く持たせるために意識的に行動させることがおすすめです。
運動や音楽で実行機能を高める

運動は子どもの実行機能を育てる最もいい方法の1つと言われています。
ルールに従って体を動かすことは集中力や注意力が必要となるのでそれらをこなすことで感情や行動を自分の意思で動かす訓練になります。
また、音楽でも同様に音程を取ることやリズムに合わせること、ダンスのステップを踏むといった動作は複雑なプロセスを並行して行うことにつながります。
小さいうちから習い事としてスポーツやリトミック、ダンスなどを習わせることは実行機能を高める1つの方法です。
読み聞かせならぬ語り聞かせで実行機能を高める
本の読み聞かせについてはこのブログでもたくさん取り上げていますが、実は読み聞かせよりも語り聞かせの方が登場人物や筋書きをよく記憶できることが数多くの研究でわかっています。
絵本の場合は絵からその場面の状況が容易に想像できてしまいますが、絵も文字もない場合は子ども自身が想像していかなければなりません。
また話の細部まで聞くために注意力も必要になることから語り聞かせの場合は子どもの脳にとってとてもいい刺激になります。
現代ではついついテレビやスマホなどで直接話す機会が減ってしまいがちですが、子どもの実行機能を高めるためにはあえて直接話すということを意識してみましょう!
幼児教育として実行機能を高めることにも意識を向けましょう
この記事で取り上げた自制心や実行機能という言葉は普段あまり耳にしません。
私も本を読んで初めてその重要性を知りました。
普段の生活の中ですでに取り組んでいることもたくさんあったかと思いますが、ただやるのと意識してやるのとでは効果は大きく変わってきます。
自制心を育てることを意識するのは子どもには難しいので親である私たちが上手に導いてあげる必要があります。
運動や音楽、語り聞かせなど自宅でも十分にできることなので、まずはどれでもいいので始めてみましょう。
自制心が高まれば子どものイヤイヤ期や反抗期も少し軽減できるのではと個人的には考えています。
